2023年 日本の職場におけるウェル ビーイング:成長意欲の高い社員が 会社の繁栄を生み出す仕組み Forrester Consulting調査(Indeed委託)2023年7月
© Forrester Research, Inc. All rights reserved. エグゼクティブサマリー Forresterはこの度、Indeed社の委託により従業員のウェルビーイングに関するグローバル調査を実施しました。日本では、1,518人の 労働者にアンケート調査を実施し、職場における現在のウェルビーイング、ウェルビーイングに対する考え方、そしてその考え方が いかにパフォーマンスや生産性、定着率に反映されるかについて検討しました。本報告書の閲覧にあたっては、日本の労働者に影響 する可能性のある文化的傾向を考慮に入れることが重要です。たとえば、リッカート尺度の設問では諸外国よりも中間点が選ばれる 割合が高くなる傾向が挙げられます。1 本調査では、労働者であるアンケート参加者が1) 目的意識が明らか、2) 自分の仕事に満足感を持っている、3) 費やす時間のほとんど に幸福感を感じている、4) 職場ではほとんどの時間をストレスを感じることなく過ごしている場合に、ウェルビーイングが高い、ま たは「成長意欲が高い」としています。この4つの主要指標は、ForresterとOxfordのウェルビーイング専門家のものと一致させていま す2。日本では、以下の点が確認されました。 1. 日本で仕事における成長意欲が高い従業員は7%のみ。アンケートに参加した日本の労働者の過半数が実感している職場のウェル ビーイングは低く、潜在能力をフルに発揮できていない。 2. 成長意欲の高い従業員の定着率と生産性の評価基準値は、成長意欲の低い者に比べて有意に高く、成長意欲の高い参加者の84%が その後12か月後も同じ職場に留まる予定であると回答している。満足している従業員は著しく生産性を示している。 3. アンケート参加者が回答した転職を考える理由の第1位は給与ではなく、ストレス。 4. アンケートに参加した従業員は、会社が従業員の感情を理解することが重要であり、それが職場の決定に影響すると考えている。 5. ウェルビーイングを優先する会社の従業員は、自身の役割において成長意欲が高くなる可能性が5倍高い。一方、自分の会社が ウェルビーイング推進を目的とした活動に参加していると回答したのはアンケート参加者の3分の1未満。
© Forrester Research, Inc. All rights reserved. 日本において職場で高い成長 意欲を示している従業員は 僅か7%。 対象:日本の常勤従業員に属するアンケート参加者1,518人 *対象:常勤従業員に属する全世界のアンケート参加者15,197人。内訳:米国(4,002)、インド(2,132)、英国(1,517)、カナダ(1,510)、フランス(1,508)、ドイツ(1,506)、日本(1,518)。 注:アンケート対象国の平均です。なお国のサンプル数に基づく重み付けはされていません。 出典:Forrester Consulting調査(Indeed委託)2023年3月 調査対象国全体の高成長意欲を示す従業員の 平均割合:25%*
日本の労働者は職場におけ るウェルビーイングの責任 は雇用者にあると考えてお り、その期待は高まる傾向 にある。 しかし、会社が改善のため に可能なことをすべて行っ ていると考えている人はわ ずか4分の1。 対象:日本の常勤従業員に属するアンケート参加者1,518人 *注:経営者、組織全体の責任を負う上級管理者、CEO、人事、その他の合計 †注:1 (全くそう思わない) ~5 (全くその通りだと思う) の尺度で4 か5 を示したもの 出典:Forrester Consulting調査(Indeed委託)2023年3月 職場における従業員のウェル ビーイングは会社の責任だ。* 会社は従業員のウェルビーイング と幸福度を高めるためにできるこ とをすべて行っている。 24% 58% 83% ウェルビーイングに対する期待値は 昨年と同様または上昇している。
やる気、帰属意識、イン クルーシブな/尊重し合え る職場環境の一員である と感じられることが、 ウェルビーイングに最大 の影響を与える。 職場におけるウェルビーイングの推進に最も大きく 影響する要因 対象:日本の常勤従業員に属するアンケート参加者1,518人 注:推進要因分析の計算。四捨五入の合計は100以上になることもありますが、推進要因の合計は100%です。 出典:Forrester Consulting調査(Indeed委託)2023年3月 影響規模/尺度の相対的重要度 ほとんどの仕事において、 やる気を感じる。 16% 会社に帰属意識を感じる。 12% 自分の職場環境はインクルーシブで、 全員が尊重されている。 11% 職場では何かを学ぶことが多い。 10% 自分が働いている会社の 人間は信用できる。 10% 上司は私の成功を手助けしてくれる。 8% 自分の仕事の対価は適正だと思う。 8% 私は仕事の目標の大半を達成している。 8% 職場には私を個人として評価し てくれる人がいる。 7% 職場にはサポートや励ましを与え てくれる人がいる。 6% 仕事には、私が必要とする時間と 勤務場所の柔軟性がある。 5% 最高 最低
成長意欲の高い従業員は評価 基準値も著しく高い 84% 12か月後も現在の職場 に留まる意向がある。 12か月後も現在の職場 に留まる意向がある。 51% 85% 38% 59% 11% 自分の役割が適切 だと感じている。 自分の役割が適切 だと感じている。 職場でストレスを全 くまたはほぼ感じな い。 職場でストレスを全 くまたはほぼ感じな い。 成長意欲が高い 成長意欲が低い
満足している 満足していない …しかも満足している従業員は生産性レベルが著しく高い 48%効果的に仕事の優先 順位付けを行う。 効果的に仕事の優先 順位付けを行う。 29% 40% 32% 35% 23% タスクに多くのエネ ルギーを注ぐ。 タスクに多くのエネ ルギーを注ぐ。 クリエイティブに問 題を解決する。 クリエイティブに問 題を解決する。
労働者が転職を考える理由の第1位はストレス 「転職を考えようと思う理由について、 もう少し具体的に聞かせてください」* 対象:日本の常勤従業員に属し、転職にオープンな姿勢を示すアンケート参加者992人 出典:Forrester Consulting調査(Indeed委託)2023年3月 「仕事のストレスに対してどのように感じていますか」 職場ではほとんどの時間、 ストレスを感じている。 43% 28% 22% 自分の仕事の対価は適 正ではないと思う。 仕事で費やす時間のほ とんどに幸福感を感じ られない。 対象:日本の常勤従業員に属するアンケート参加者1,461人(分からないと答えた回答者を除く) 出典:Forrester Consulting調査(Indeed委託)2023年3月 仕事のストレスの大半がポジティブなものであると回答したのは僅か14% 46% 40% 14% My work stress is mostly negative. My work stress is an equal balance of both positive and negative. My work stress is mostly positive. 私の仕事のストレ スは、マイナス面がほ とんどを占めている。 私の仕事のストレ スは、プラス面とマ イナス面の両方の バランスが均等。 私の仕事のストレ スは、プラス面がほとん どを占めている。
© Forrester Research, Inc. All rights reserved. 日本では従業員の78% が、個人の感情に配慮する 会社を見つけることが重要 であると考えている 対象:日本の常勤従業員に属するアンケート参加者1,518人 注:1 (全くそう思わない) ~5 (全くその通りだと思う) の尺度で4 か5 を示したもの 出典:Forrester Consulting調査(Indeed委託)2023年3月
31% 30% 29% 24% Adjusts how things work based on employee feedback. Often shows they care about how employees feel at work. Understands what employees struggle with the most at work. Sets goals to increase worker wellbeing, reduce stress. 幹部・役員がウェルビーイ ング推進活動に参加してい ると考えている従業員は、 多くても30%のみ。 対象:日本の常勤従業員に属するアンケート参加者1,518人 注:スケールの4と5のみを表示。1を「まったく当てはまない」、5を「まったくその通り」とする 出典:Forrester Consulting調査(Indeed委託)2023年3月 当社の幹部・役員は… 従業員のフィードバッ クをもとに取り組みや やり方を調整している。 従業員が職場で抱く 感情を気にかけている 様子を頻繁に示す。 従業員が職場でどんな ことに最も苦労してい るかを理解している。 労働者のウェルビーイ ングを高め、ストレス を減らすための目標を 設定している。
ウェルビーイングにおいて決定的な重要性を持つ上司の役割 さらなる影響力アップの伸び代がまだある 上司は模範となる 行動をしている。 上司は私の仕事が実際は どのようなものなのか理 解してくれている。 51% 38% 上司は模範を示す、共感力 のあるリーダーでなければ ならない。上司の導きがな ければ部下は任務遂行にお いて応援されている感覚が 得られにくく、ウェルビー イングにも悪影響。 対象:日本の常勤従業員に属するアンケート参加者1,518人 出典:Forrester Consulting調査(Indeed委託)2023年3月
46% 46% 45% 44% 35% 39% 38% 39% 37% 30% Self-esteem Personal relationships Satisfaction with life Quality of life Career trajectory Ages 18 to 42 Ages 43+ ウェルビーイングが及ぼす 仕事とプライベートへの影 響は、年配層よりも若年層 で高まる傾向にある。 「あなたの職場のウェルビーイングは以下の事柄にどの ように影響しますか」 対象:日本の常勤従業員に属するアンケート参加者1,518人。うち819人が18〜42年、699人が43年以上。 注:年齢範囲はアンケート参加者の平均年齢をもとに計算。スケールの4と5のみを表示。1を「ネガティブな影響」、5を「ポジティブな影響」とする 出典:Forrester Consulting調査(Indeed委託)2023年3月 自己肯定感 人間関係 生活・人生への 満足度 生活の質(QOL) 個人の経歴 18〜42歳 43歳以上
ウェルビーイングを優先 する会社では成長意欲を 持つ従業員に適した環境 が育まれる。 これを実践している会社は半数 に満たない。測定している会社 も然り。 会社がウェルビーイング を測定していると回答し た従業員。 会社が利益以上にウェルビー イングの優先を表明している と回答した従業員。 27% 21% 利益よりもウェルビーイン グを優先する会社には、成 長意欲の高い従業員がいる 可能性が5倍。*
© Forrester Research, Inc. All rights reserved. 成長意欲のある従業員は定着率が高く、満足している従業員は生産性も高い。 本調査では、成長意欲の高い従業員の定着率と生産性が高くなっていることが示されました。アンケート参 加者である従業員の3分の2近くが、従業員のウェルビーイングの責任は会社にあると考えており、会社が その改善のために可能なことすべてを行っていると思っているのはわずか24%のみです。83%が従業員の ウェルビーイングに対する期待値は1年前と比較して同等あるいは高いと回答していることから、人材がよ そに職を求める状況を回避するために改善の余地はまだほかにもあると思われます。先を見据える企業は、 今ウェルビーイングを優先することで将来に備えています。 従業員のウェルビーイングをアピールして人材を惹きつける。 日本でのアンケート参加者の78%が、従業員の感情に配慮する会社を見つけることが重要であると考えてい ます。職務詳細や企業ウェブサイトで、そして面接時に、自社従業員の成長意欲の高さをアピールして差別 化を図るとよいでしょう。 従業員を理解することで成長意欲の向上を支援し、事業の成長へとつなげる。 仕事における成長意欲が高い従業員はアンケート参加者のわずか7%であることから、従業員の多くのウェ ルビーイングが低いことが見て取れます。従業員がやる気と帰属意識を得られ、インクルーシブな/尊重し 合える職場環境の一員であると感じられるように支援することで、従業員のウェルビーイング、ひいてはパ フォーマンスに多大な効果を与えることができます。従業員にとって何が重要なのかを見出してその実現に 取り組むことで、従業員は得られる恩恵を目指してやる気が高まり、会社の利益にもつながります。 主な推奨事項
© Forrester Research, Inc. All rights reserved. 本調査では、Forresterは日本での参加者1,518人を対象にオンラインアンケートを実施し、職場の全体 的なウェルビーイングを評価しました。アンケート参加者は、大半(87%) がフルタイムで、残り13%が パートタイムの常勤従業員に分類される成人(18歳以上)です。参加者は職場における幸福感に関する さまざまなトピックの質問を受けました。たとえば幸福に対する全体的な考え方、幸福の推進要因、職 場の幸福感がビジネスの結果に与える影響、職場におけるストレスの各種側面、職場の幸福度と就職・ 転職活動との関係性などが挙げられます。回答者には、調査への協力に対する謝礼が贈られました。調 査は2023年2月に開始し、2023年3月に終了しました。 調査手法 プロジェクトチーム: Vanessa Fabrizio、シニアマーケットイン パクトコンサルタント Ben Anderson、アソシエイトマーケット インパクトコンサルタント 調査協力: Forrester従業員体験リサーチグループ FORRESTER CONSULTINGについて Forrester は組織のリーダーが主要な変革成果を実現できるよう、独自の客観的調査に基づくコンサルティングを提供しています。当社の 顧客起点な調査の蓄積に支えられ、Forresterの経験豊富なコンサルタントがリーダーの方々のパートナーとなって多様なニーズに合わせて カスタマイズされ、効果も持続する独自のエンゲージメントモデルを用いて優先事項の実行をお手伝いします。詳細については、 forrester.com/consulting をご覧ください。 © Forrester Research, Inc. All rights reserved. 無断で複製することは固く禁じられています。掲載情報は入手可能な最良のリソースから取 得したものです。本書で取り上げた意見は当時の状況を反映したものであり、変更されることがあります。Forrester®、Technographics®、 Forrester Wave、Total Economic Impact は、Forrester Research, Inc. の商標です。その他の商標の所有権は各所有者に帰属します。詳細 については、forrester.com にてご確認ください。[E-57562]
© Forrester Research, Inc. All rights reserved. 国 日本(100%) 性別 男性(63%) 女性(37%) 雇用状況 フルタイム(35時間/週以上) (87%) パートタイム(35時間/週未満) (13%) 年収 低[1,000,000〜3,999,999円] (24%) 低[4,000,000〜6,999,999円] (33%) 高[7,000,000〜10,000,000円以 上](41%) 該当しない(3%) 在職期間 3か月以下(2%) 4〜6か月(2%) 7か月〜1年(7%) 2〜3年(15%) 4〜5年(14%) 6〜10年(19%) 11〜15年(13%) 16〜20年(8%) 20年以上(19%) 調査対象者の内訳 年齢層 18〜24歳(7%) 25〜34歳(25%) 35〜44歳(27%) 45〜54歳(21%) 55〜64歳(15%) 65歳以上(4%)
© Forrester Research, Inc. All rights reserved. 学歴 低[中卒以下〜高卒](24%) 中[大学中退(学位なし)〜短 大卒](19%) 高[大卒(学士)〜大学院卒 (修士、博士など)](56%) 仕事の種類 主に知識労働(49%) 主に肉体労働(29%) 主にサービス業(21%) その他(2%) 調査対象者の内訳 (続き)
© Forrester Research, Inc. All rights reserved. 1 出典:Jerry W. Lee, Patricia S. Jones, Yoshimitsu Mineyama, Xinwei Esther Zhang『Cultural differences in responses on a likert scale』Research In Nursing And Health, 2002年7月15日 2 Oxfordとの提携により開発され、経済開発協力機構(OECD) および英国国家統計局にも一致する方法論に基づく。 脚注
その他の調査 FORRESTERの関連調査 『Focus On Empathy〜Gain Your Employees’Trust』 Forrester Research, Inc. 2022年12月29日 『Forrester’s Essential Guide〜Forging And Leading A Thriving Organization In 2023』Forrester Research, Inc. 2022年11月11日 INDEEDとつながる jp.indeed.com jp.indeed.com/lead
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